【市貝】町教育委員会が刊行した図録「市貝町の『宮大工・彫物師』-千本領田野辺村の工匠を中心に」の関連講座が13日、フィールドワーク方式で行われた。参加者15人が町内の神社などに残る彫刻を間近で見ながら歴史を学んだ。
江戸時代、町の田野辺地区には県内外で広く活躍した宮大工棟梁(とうりょう)の永野(ながの)万右衛門(まんえもん)がおり、その建物に施す彫刻を石原弥兵衛(いしはらやへえ)とその一門が担当していた。
今回の講座では図録の編集を担った小森瑞男(こもりみずお)委員長(88)=文谷(ふみや)、長野勝(ながのまさる)委員(72)=田野辺)、吉成登(よしなりのぼる)委員(73)=那須烏山市大金=が講師役となり、上根の万福寺薬師堂や芳賀町給部の高尾神社などを巡った。参加者は講師たちの「多くの作品に物語が隠されている」といった説明にうなずいていた。
講座に参加した町文化協会の高岡勉(たかおかつとむ)会長(76)=市塙(いちはな)=は「彫刻はそれぞれが素晴らしい。まずは町民にその存在を知ってほしい」と話していた。図録は町観光協会などで発売中。記念展示は15日まで町歴史民俗資料館で行われている。