足尾銅山鉱毒事件により、1906年に強制廃村となった谷中村。村の歴史を伝える史跡保全ゾーン延命院跡に「谷中村連絡箱」がある。箱の中の「連絡ノート」には、史跡を訪れる人が自由に感想を書き込んでいる。
連絡箱は1990年ごろ、訪れる人との思いを共有しようと市民団体「谷中村の遺跡を守る会」が設置した。取り組みは30年以上続き、現在のノートは28冊目となった。
「公害の原点としていつまでも保存してください」「当時の住人の気持ちに思いをはせ、涙が出た」。ノートには苦難の歴史についての人々の思いが書かれている。
ノートの文は同会事務局の山口(やまぐち)とみ子)さん(71)が書き写し、「谷中村たより」として発行している。山口さんは「全国各地から関心を持った人が来てくれて、大変ありがたい」と話している。