空きアパートをリノベーションしインバウンド向け宿泊施設として再生したえんやの高緑社長(右)とデザイナーの高橋さん

 【日光】石屋町の飲食店「Restaurant Nikkoえんや」はこのほど、隣地の空きアパートを買い取った上で改装し、インバウンド(訪日客)向けの宿泊施設としてオープンさせた。飲食を夜遅くまで楽しんだ後、そのまま宿泊したいとの外国人客のニーズを取り込むのが狙い。同社の高緑一(たかみどりはじめ)社長(48)は「空き家再生のモデルケースにして地域活性化の起点にしたい」と話している。

 宿泊施設は「Dragon Inn(ドラゴンイン)Nikko」。東武日光駅から日光の社寺方面へ向かう国道沿いに8月8日に開業した。3部屋で最大14人が宿泊できる。

 内装は御幸町のデザイン会社「NEIGHVERSE(ネイバース)」の高橋広野(たかはしこうや)さん(31)と協業しフルリノベーション。「和モダン」をテーマに、畳、こたつのほか、大谷石を照明カバーに利用するなど、日本や栃木ならではの要素を盛り込んだ。チェックインは無人ではなく、「おもてなし」を重視して対面方式にした。

 市の外国人宿泊客数は2023年に年間約12万人と過去最多を記録。特に日光の社寺周辺は外国人客が急増している。一方で、同地周辺は夜遅くまで営業している飲食店が少なく、夕食時間が比較的遅い外国人客が、近隣で食事をすることが難しいとの課題がある。

 そのため同施設では、宿泊客にえんやの飲食代の割引クーポンを渡しているが、地域の回遊性を高めるため、他の飲食店や物産店でも利用できる割引クーポン発行も検討するという。

 高緑社長は「エリア全体の再生のきっかけになる施設にしたい」と意欲を示している。