北海道や東北地方を中心にクマ被害が続く中、栃木県足利市でツキノワグマとみられる野生動物の出没が相次いでいる。秋以降に急増し、年間の目撃件数は過去最多を更新。これまで出没がなかった渡良瀬川河川敷や住宅街が近い足利赤十字病院付近でも目撃情報が寄せられており、市民は警戒感を強めている。一方、これら市中心部に出没したのがクマと裏付ける痕跡はなく、市は対応に苦慮している。

 「イノシシではない」

 「市街地に近い場所でクマを見かけるとは」。

 足利市と群馬県太田市の県境付近の渡良瀬川河川敷でクマとみられる野生動物と遭遇した男性(38)は、地元で起きた「まさか」の瞬間を鮮明に覚えている。

男性がクマを目撃した渡良瀬川河川敷。奥に見えるのが足利赤十字病院、手前は群馬県太田市(読者提供)
男性がクマを目撃した渡良瀬川河川敷。奥に見えるのが足利赤十字病院、手前は群馬県太田市(読者提供)