自社製のフィナンシェを手にする薄羽さん。パッケージも特徴的

 【益子】塙の薄羽養鶏場は、初の自社製造の6次産業化商品となる洋菓子「フィナンシェ」を開発し、道の駅ましこで販売を始めた。養鶏を取り巻く環境が厳しくなる中、規格外の卵を使った独自の商品開発に活路を見いだした。県の「フードバレーとちぎ」関連の支援を受け、洋菓子のノウハウ不足や設備投資などのハードルを乗り越えた。

 商品名は「たまご屋さんのフィナンシェ」(6個入り900円)で、味はイチゴ、ブルーベリー、リンゴの3種類。大きさや外観上の理由で規格外となったものの、味には問題のない新鮮な卵を使い、しっとり感と後味の良さを追求した。卵の紙パックのパッケージも特徴だ。

 養鶏はここ数年、ウクライナ情勢や鳥インフルエンザ、飼料の高騰や卵の相場の変動に翻弄(ほんろう)されてきた。同社も卵の販売から新たな展開を模索し、6次化への挑戦を決めた。

 昨年6月、県とフードバレーとちぎ推進協議会が進める「“ヒット”商品創出支援事業」に採択されたことで大きく前進。道の駅うつのみやろまんちっく村を運営するファーマーズ・フォレストや、洋菓子の専門家門林秀昭(かどばやしひであき)さんの協力を得て、菓子作りや商品化のノウハウを得た。

 設備投資の課題は、道の駅ましこが管理する加工施設の設備を借りることでクリアした。フィナンシェは調理が比較的シンプルで、一度に多く作れて常温で30日間保存でき、廃棄リスクを減らせる利点もある。

 代表の薄羽哲哉(うすばてつや)さん(45)は「自分たちだけでは頓挫していた。多くの人の協力のおかげで商品化できた分、売っていく責任も感じる」と意欲を示す。将来的には、町内で栽培されている果物も材料に取り入れたいという。