県内農産物直売所の利用者数と売上額の推移

 道の駅などの県内農産物直売所計163施設の2022年度売上額が、前年度比5・1%増の166億円となり、2年連続で過去最高を更新したことが21日までに、県農政部のまとめで分かった。地元農産物を生かした新商品開発などで差異化を図った施設が、全体の売り上げを押し上げたとみられる。ただ、売上額がアップしたのは全体の48・5%(79施設)と半数に届かず、経営に苦しむ施設との二極化が進んでいる。

 県農村振興課によると、売り上げが増えた直売所は、地元の農産物を活用したスイーツやパンなどの新商品を開発し、品ぞろえを強化した施設が目立った。

 新型コロナウイルス禍で中止となっていたイベントも徐々に再開され利用者が増えた施設や、交流サイト(SNS)で商品などを積極的に発信したことが奏功した施設もあるという。特に道の駅などの大規模施設はEC(電子商取引)サイトでも商品を販売し、売り上げを伸ばした。

 直売所の利用者数は県内全体で0・2%減の1515万人だった。道の駅などの大規模施設は利用者数が増えた一方、中山間地にある中小規模の直売所は売り上げが伸び悩むところもあった。生産者が減少し、販売する農産物を確保できないことなどが要因という。

 県は経営難に直面する直売所に対し、今後ヒアリングを実施する。課題を把握し、経営改善を助言していく方針。

 利用者数は新型コロナ禍前の18年度(1675万人)と比べると、9・6%(160万人)及ばず、回復には至っていない。「利用者が増えれば周遊も増え、農村地域の活性化につながる」(同課)ことから、県は農村地域を巡るスタンプラリーなどを通じて利用者拡大を図るとしている。

 この他、道の駅などにある農村レストラン(57施設)の利用者数は1・3%増の161万人、売上額は9・5%増の16億2千万円といずれも増加した。観光農園(33施設)も利用者数が34・1%増の55万人で、今回初めて調査した売上額は16億5千万円だった。