白鴎大理事長との約束は…

 -白鴎大の教授になられたのは、(前編で語られた)大学時代の塾講師体験が土台にあってなんですね。

 「学校の現場で教えるためには、相当自分が準備しなきゃいけない。“教える”っていうのは、学生たちから“教わる”ことなので、その場所だけは捨てないようにとずっと思っていました。だから、白鴎の上岡條二(かみおか・じょうじ)理事長から『大学でやりませんか?』と言ってもらった時は、めちゃくちゃうれしかったです。『行っちゃいます、行っちゃいます、僕でいいんですか!?』みたいな(笑)」

 -今後も、休職中の白鴎大の教授は続けてくださるのですか?

 「もちろん! (最近行けてないことを)理事長にも謝っています。日本代表監督の任期が終わったら授業をちゃんとやるって約束してたんですけど、ちょっと今バタバタしててできないので、時間作ってなるべく努力はします」

 -ありがとうございます。私が在学中にお願いします!

塾講師時代から変わらない、白鴎大での熱血授業(2019年12月)
塾講師時代から変わらない、白鴎大での熱血授業(2019年12月)

 -そのバタバタの中で、昨年9月にはチェコ野球の名誉大使にも就任されました。チェコ現地に行かれて改めて感じたこととか、お聞きしたいです。

 「行ってみなきゃ分からない、現場にしか答えはないってよく言うんですけど、それは間違いなくって。一番印象的だったのは、チェコの野球選手たちは他にも仕事をしてること。例えば高校の先生だったり。授業も参観しましたが、普通に笑いながら生徒たちと授業をしている。なんでこの人たちと野球やってるとあんなに心地いいんだろうというのを、WBCで対戦して思いました。やっぱり彼らにとっては野球をやる環境があまりないから、野球をやれることだけでうれしいし、必死になるし、1球たりともおろそかにしたくない。そういうことが起こっている。われわれはあまりにも野球をやれる環境があることによって、慣れてしまうんですよね。その価値が分かりづらくなってしまう。それはすごく感じました」

 -中でも印象的なことってありましたか。

 「最後に『あなたにとって野球とは何ですか?』と彼らに聞いた瞬間、一瞬考えて、涙を目にためながら『僕の人生なんです』って言ったんです。野球が人生って、ほんとに何か感じるものがありますよ。ほんとに大切にしてるんだな、野球ってやっぱりいろんな事を学べるものなんだなって」

 -その涙をご覧になって、栗山先生は…

 「(今までも)野球は大事にしてきたけど、もっと大事にして野球のために進めるんだ、『まだ俺、頑張れてないな』と。自分ではめちゃくちゃ好きだと思ってましたけど(笑)、そういう思いはありましたね」

 
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