やりたいこと見つかるまで待ってもいい
-ご著書を読ませていただいて、これまで栗山先生は「人」によって人生が大きく転換されている場面が多いなと感じました。
「あー、僕はめちゃくちゃ恵まれてますね。何かの時には誰かに出会えてるっていうか。教育者の森信三(もり・のぶぞう)先生の『修身教授録』という本には『人間は必要な時に必要な人に必ず出会っている。一瞬たりとも早くもなく、遅くもなく』と書いてあるんだけど、僕はその言葉を知った時に『いやいや、俺全然出会ってないし』って最初は思ったんですよ。でも、ずーっとよく考えてみると、たぶん会ってるんですよね。ただ、生かせてない。本当は話しかけて何かすればプラスになったものが、そこに自分のアンテナが合ってないから素通りしてしまってる」
-なるほど…。その考えは、野球をする上でも参考になりますか。
「難しい本ではあるんですけど、選手たちに『何かいい本ないですか』って聞かれたら、その本を渡しますよ。今回、吉田正尚(よしだ・まさたか)選手にも渡しましたね」
-ご自身も、このご多忙の中で読書は続けておられるんですか。
「ちょっと最近あまりにもバタバタし過ぎて、前みたいに読み出すと一気に1冊読み終えるということはなくなりました。それでも開いていますね、短い時間ずつですけど。あと、ノートを書くことだけはやめない。習慣って大事。書くことで自分の頭の中が整理されたりして、何回か書いていると、この年になっても覚えられることはあるんです」

-最後に。栗山先生ご自身、進路選択に悩まれたことを前編で伺いましたが、その進路に悩んでいる若者や、やりたいことが見つからない若者にメッセージをお願いしたいです。
「よく『夢がない』とか、『やりたいことがない』とか言うじゃないですかー。なくてもいいんじゃないか、いつか見つかると思います。切羽詰まったり、家族のためになんとかしなきゃと思うかもしれないけど、無理やり見つけることではないので。自分の心の中で自分が楽しいな、やりたいなと思うことが出てくるまで、待っててもいいと思う」
-え、それってとても気持ちが楽になります!
「ただそのためには、できれば、いろんな人に会っていろんなものを見た方が、刺激になる。知らないことと出会って、これってスッゲェなと思うこと、いまだに僕もあるので。だからこそ、こうやってたくさんの人に会い続けている。ヘェーなんて思うこともいっぱいありますし、なんか自分も怠けてちゃいけないなと思うこともあります。そのためにやることは、やっぱりやった方が良いとは思いますけど、ないからダメなんてことはない。自分を信じて、待っててあげてください!」
-ありがとうございました!
◇ ◇
まもなく、日本ハムファイターズの「チーフ・ベースボール・オフィサー」(CBO)という新しい“就職先”での初シーズンに入る栗山先生。そのチャレンジする姿に力を頂きながら、私たちも就職活動がんばろう!

(白鴎大地域メディア実践ゼミ 岡結菜(おか・ゆいな)、小高明日奏(こだか・あすか)、小林菜々子(こばやし・ななこ)、橋本慎之介(はしもと・しんのすけ)、森谷佳保(もりや・かほ)、泉浦光(いずみうら・ひかる))