石川 力さん(34歳)
石川 力さん(34歳)

トマト農家の3代目 26歳で脱サラし就農

県内のトマト農家は今、収穫のピークを迎えています。中でも足利市産は「大玉でおいしい」と定評があり、統一ブランド「あしかが美人」として売り出しています。

 野田町の石川力さんは、祖父から続くトマト農家の三代目。東京都内で働いていた26歳の時、サラリーマンを辞めて就農し、父母と一緒に働き始めました。「子どもの頃から親の仕事を見てきたし、手伝いもしてきた。家族の将来を考えて地元に戻るのがベストだと思ったのですが、結局はこの仕事が好きなのです」と振り返ります。

 石川さん方では、高さ5㍍もある大型の栽培ハウス4棟、計54㌃で「かれん」という品種に絞り栽培しています。ハウスは、オランダ生まれのローラーフック方式の養液土耕栽培。ローラーで上から吊ったワイヤーにトマトのつるを誘引させて栽培します。12㌃のハウスでは、約2千本の茎が真っすぐに2㍍も伸び、トマトが鈴なり状態。12月上旬から7月中旬まで7カ月余りで20㌧以上を収穫します。「『かれん』は形が良く、味が抜群にいい。病害虫にも強い」と魅力を語ります。

光沢が良く形も美しい足利のトマト
光沢が良く形も美しい足利のトマト

「大玉なら足利」の定評を守りたい

 養液土耕栽培では、ハウス内の温度や湿度を制御盤で一括管理し、栽培に必要な水と光とCO2の量を指標に基づいて理想的な状態に保って育てます。石川さんのトマトは昨年、JA足利や全農とちぎ、県などが共催したコンクールで最高賞を受賞。栽培技術が認められる一方、「理想的と思われる数値だけでは収穫量が伸びない。最近は、父ら先人が築いた知識や技術など原点に戻る必要があると思うようになりました」と言います。

ローラーフック方式で垂直に伸びた茎に実るトマトを丁寧に管理
ローラーフック方式で垂直に伸びた茎に実るトマトを丁寧に管理

 石川さんはJA足利トマト部(43人)の下部組織、青年会(11人)の最年少メンバー。「定期的に開かれる情報交換が勉強になります」とJAのバックアップと仲間の存在に感謝しています。

 JA足利によると、管内のトマト年間出荷量は約3千㌧。担当者は「市場で『大玉なら足利』と言われています。さらなる食味向上に努めており、味にも自信があります」と話します。スーパーなどで「あしかが美人」のトマトを見かけたらぜひお試しあれ。

 お問い合わせは、JA足利販売推進課☎︎0284・22・4433。