【足利】足利を特集したNHKの番組「ブラタモリ」で案内役を務めた史跡足利学校学芸員の大澤伸啓(おおさわのぶひろ)さん(64)の講演会がこのほど、朝倉町のあしかがフラワーパークプラザで開かれた。文化財の保存と活用がテーマ。大澤さんは「世代交代が進み、資料の散逸が危惧される今こそ、歴史博物館の役割が求められる」と解説した。
歴史ミュージアムの設立を目指して活動を続ける「足利歴史ミュージアム設立推進協議会」が主催した。会員や市民ら約80人が参加した。
史跡足利学校の保存整備事業や、樺崎寺跡の史跡指定などを手がけた大澤さん。ブラタモリ出演時は足利氏による室町幕府の樹立や、足利学校の隆盛、繊維工業の繁栄を挙げて「足利は時々天下を取っていた」と解説した。
今回の講演では、世界遺産を有する岩手県平泉町が「消滅可能性自治体」と指摘された点に触れ、「文化財が町のブランド力向上に寄与していれば、(その町が)消滅することはない」と強調した。
国宝に指定されている足利学校の書籍77冊と鑁阿(ばんな)寺の本堂の他、重要文化財に指定されている狩野派の祖狩野正信(かのうまさのぶ)筆の絵画など、市内あまたの文化財について解説した。「文化財は次世代から預かっている。より良い形で引き継ぐのが私たちの使命」とし、歴史博物館設立の意義について力説した。
協議会の高久保勲(たかくぼいさお)会長(84)は「講演を聴いて、博物館の役割や課題がはっきりした。地域活性化のためにも必要な施設だ」と振り返った。