
第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」は10月1日から10日にかけて、栃木県内21市町などで35の正式競技を行った。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった国体。11日の総合閉会式を前に、42年ぶりの地元開催で活躍した栃木県勢の軌跡を振り返る。
Day1 とちぎ国体開幕

総合開会式は1日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで行われた。天皇、皇后両陛下が臨席された式典では、各都道府県選手団が入場行進し、栃木県スポーツクライミング成年男子の楢崎智亜(県スポーツ協会)とホッケー成年女子の狐塚美樹(グラクソ・スミスクライン)が「最後まで精いっぱい競技する」と力強く選手宣誓した。

会場には約7300人の観衆が詰めかけた。航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」がスタジアム上空を祝賀飛行。式典演技には栃木県出身のお笑いコンビ「U字工事」ら芸能人が出演し、花を添えた。
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ボート、卓球、相撲の3競技では熱戦がスタート。ボートでは成年女子かじ付き4人スカルなどが準決勝に進んだ。
Day2 空手澤江が本会期V1号

本会期の県勢優勝第1号に輝いたのは、空手成年女子個人組手の澤江優月(帝京大)。空手では少年女子形の佐藤幸(作新学院高)、成年男子組手軽量級の佐合尚人(高栄警備保障)も3位に入り、好発進となった。

前売り券が即完売するなど注目を集めた特別競技の高校野球硬式では、国学院栃木が夏の甲子園4強の近江(滋賀)に逆転勝ち。県勢では1983年の宇都宮南以来39年ぶりの準決勝に進んだ。
Day3 剣道少年男女で頂点

好成績が期待される剣道で少年男子、少年女子がそろって優勝を飾った。レスリング成年男子フリースタイル65キロ級の上野裕次郎(県スポーツ協会)、空手成年男子形の本龍二(イー・ギャランティ)は準優勝し、意地を見せた。
なぎなた、フェンシングなどでも入賞が相次ぎ、天皇杯(男女総合得点)順位は前日の9位から2位へと急上昇した。
Day4 空手、剣道などで栄冠

この日は3競技で優勝を果たした。空手団体組手と剣道成年女子は初の戴冠。セーリング成年女子国体ウインドサーフィン級の小嶺恵美(県スポーツ協会)も頂点に立った。
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ボート少年女子シングルスカルでは飯塚百合子(東京・成立学園高)が堂々の準優勝。今大会の目玉競技の一つ、楢崎智亜、明智(いずれも県スポーツ協会)兄弟が出場したスポーツクライミング成年男子はボルダリングで3位、リードで4位と、2種目で入賞した。
Day5 剣道で全4種別制覇

前日を上回る4競技で頂点に立った。剣道は成年男子が初優勝し、成年女子、少年男子、少年女子と合わせて全4種別を制覇。卓球成年女子、レスリング少年男子グレコローマンスタイル92キロ級の植木優斗(足利大付高)も優勝を果たした。
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フェンシング成年女子エペは過去最高成績となる準優勝。国学院栃木高単独で臨んだラグビー少年男子などが3位に入った。
特別競技の高校野球軟式の作新学院は決勝で鹿児島実(鹿児島)と0-0で引き分け、同時優勝となった。
Day6 ホッケーなどVラッシュ

3競技5種目で栄冠に輝いた。ホッケー成年男子は下馬評通りの強さで2大会連続3度目の頂点。馬術では成年男子トップスコアの広田龍馬(那須トレーニングファーム)、成年女子二段階障害飛越の広田思乃(同)は夫婦で同じ日に優勝を果たした。
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馬術では少年スピードアンドハンディネスの瀧田玲(同)も優勝。この日から競技が始まった陸上では、成年女子棒高跳びの諸田実咲(県スポーツ協会)が女王の座に就いた。
Day7 自転車の貝原V

自転車成年男子ポイントレースで貝原涼太(県スポーツ協会)が雨中の激戦を制した。4位タイで迎えた最終周の見事な逆転劇だった。

重量挙げ成年男子81キロ級の山根大地(自衛隊体育学校)はスナッチ2位、ジャーク3位。ゴルフ少年男子団体、馬術成年男子スピードアンドハンディネスの増山誠倫(小山乗馬クラブ)、同成年女子馬場馬術の金城友(筑波RPI)がいずれも2位と健闘した。
この日から始まったバレーボール成年女子には、東京五輪後から長期休養に入っていた宇都宮市出身の黒後愛が滋賀県代表として出場。会場から温かい拍手や声援が送られた。
Day8 馬術の鈴木が頂点

好成績が続く馬術で、成年男子自由演技馬場馬術の鈴木直人(鍋掛牧場)が頂点に立った。この種目では県勢初の快挙となった。

自転車女子500メートルタイムトライアルでは、女子競輪1期生として活躍を続けてきた荒牧聖未(日本競輪選手会栃木支部)が準優勝。陸上成年男子砲丸投げの武田歴次(県スポーツ協会)、自転車成年男子ケイリンの町田颯(日大)、カヌースラローム成年男子カヤックシングルの斎藤康祐(県スポーツ協会)も2位に入った。
Day9 柔道成年男子が初V

柔道成年男子、銃剣道少年男子がともに初優勝を飾った。柔道成年男子は宮崎との決勝を1-1(内容勝ち)で競り勝ち、悲願を成し遂げた。
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馬術では少年自由演技馬場馬術の渡辺心(鍋掛牧場)と、成年女子トップスコアの増山久佳(小山乗馬クラブ)が優勝。増山は前回2019年の茨城国体に続く連覇を達成した。
Day10 競技終了、天皇杯2位

優勝候補の期待に応えた。ボクシング成年男子フライ級の平塚駿之介(駒沢大)、重量挙げ少年男子102キロ超級スナッチとジャークの塚田直人(小山南高)が競技最終日を飾った。
注目の天皇杯(男女総合)は、東京が2436.0点で5年ぶり16度目となる天皇杯獲得。栃木県は2270.5点の2位に終わり、1980年「栃の葉国体」以来2度目の天皇杯獲得はならなかった。