投資と医療機器 異なる業界で世界的に活躍する2社。これまでの歩みや先進的な取り組み、長期的な価値創造について聞きました。

 

 

まず、レオス・キャピタルワークスの事業について教えてください。

 

藤野 英人(以下、藤野):幅広い不特定のお客さまから小口でお金をお預かりして、巨額になったお金をさまざまな企業に投資してお客さまの資産を増やす、投資信託という金融商品を運用する資産運用会社です。2003年に創業し昨年20周年を迎えました。運用するアクティブファンド「ひふみ」は日本で最大級の投資信託の一つです。120万人以上のお客さまがおり、国民の100人に1人ほどが私たちのお客さまということになります。

 

レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長 CIO 藤野氏
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長 CIO 藤野氏

 

世界株も取り扱い、それも大きくなりました。世界株投資信託の中でも、日本で有数の規模と言っても過言ではありません。運用者が投資先の企業を一つ一つ丁寧に調査し、選定しますが、選定時に大切にしているのは、経営者と会ったり直接事業内容を見せてもらったりする「足で稼ぐ運用」「成長企業の発掘」です。

 

マニーは栃木県高根沢町で誕生し、現在は宇都宮市に本社を置く世界的な医療機器メーカーですが、これまでの歩みを教えてください。

 

齊藤 雅彦(以下、齋藤):マニーがどのような会社なのかキットをお見せしながら説明します。創業は1956年で、縫合針から始まりました。その前は東京で軍事産業に携わっていましたが、戦争が終わり「これからどうしていこうか」ということになりました。紆余曲折(うよきょくせつ)を経て金属加工技術が生かせる縫合針にたどり着きました。縫合針が折れることによって起きる医療事故を知り、「材料から開発して折れにくい医療用針を作りたい」という思いを製品にしました。
企業理念は「患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発・生産・提供を通して世界の人々の幸福に貢献する」です。

 

 

マニー株式会社 取締役兼代表執行役社長 齊藤氏
マニー株式会社 取締役兼代表執行役社長 齊藤氏

 

医療機器メーカーは世界中にニーズが

 

齊藤:硬い材料および穴を開ける技術を開発し、縫合針は現在1万種類あります。次にこの材料と技術を使い歯科分野に進出しました。歯科根管治療(歯の内部に入った細菌を除去し、痛みや腫れといった症状を取り除く治療)用にどのような形の根管にでも入っていける器具を開発しました。そして、微細な器具や技術を必要とする眼科領域にも事業を拡大し白内障手術用のナイフを作っています。

 

アイレス針
アイレス針
眼科用ナイフ
眼科用ナイフ

 

藤野:白内障の患者は世界中で増えていますから、ニーズがありますね。

齊藤:そうですね。眼科ナイフの技術を使って、網膜治療用の器具なども作っています。以前、医療用ホチキスが出てきた時、「縫合がなくなってしまう、われわれの縫合針も必要でなくなるのでは」という危機感を持ったことがあります。しかし、縫合の技術が上がり縫合針を使って縫う方がきれいに仕上がるということになりました。縫合針、歯科、眼科の3分野は、まだまだやれることがありますし、世界には打って出て行ける場所がたくさんあると考えています。世界に向けて製品のシェアを伸ばしていきたいですね。

藤野:レオス・キャピタルワークスには、長期にわたって価値を上げる企業に投資をするという方針があります。マニーには、ファンド創立直後の比較的早い時期から投資をしています。それは、私のお金ではなくお客さまの人生と夢、希望が込められたお金が、栃木県の素晴らしい企業の中に入っていることになります。価値のある企業に投資してその企業と二人三脚で大きくなっていくというところが、私たちレオス・キャピタルワークスの特長です。

 

長期的な価値重視-投資先を選ぶ基準とは?- 

 

藤野:今話題の分野とその企業にも投資しますが、地味で地道でもキラリと光る企業に長期的な価値を見いだし投資しています。
マニーで言えば「マニーがなくなっては困る」という人がたくさんいることが価値です。マニーの製品は医師にとって使い勝手がよく患者の負担を軽減します。それは、たくさんの人が救われることにつながります。そして、医師がもうかりマニーももうかる。正の循環ができるのです。

マニーはキラリと光る商品を作ることによって、ローカルでもグローバルでも光っており、とても価値のある企業です。われわれのお客さまは毎月、少額投資を通して経営に参画し、この正の循環を支えています。

齊藤:株主の皆さまの期待を背負っていることがよく分かりました。私たちが目指すのは、世界の人々の幸福に貢献する、ということです。同じような製品を作っているメーカーは他にもあります。しかし私たちの製品には「それよりももっと良い治療を提供するんだ」という開発技術者の思い、こだわりが詰まっています。実際に使った医師がこの思いをくみ取り「良い製品ですね」と言ってくださると、非常にうれしいしやりがいを感じます。

 

 

 

企業に変化の兆し-藤野氏が全国を回って経営者に会う理由とは?-

 

藤野:企業はさまざまなステークホルダー(利害関係者)によって成り立っていますが、最も大事なのはリーダー、経営陣です。その人たちの方向性、企業のビジョンとミッションをとても大切にして投資先を選んでいます。結果的に、企業に共感する、内容をよく理解できる企業は、長期的なリターンを上げることが多いですね。

齊藤:得意な材料や加工技術を使えば、もっと良い医療機器が提供できる、もっと良い治療ができる、ということを追求してきました。世界中の人がマニーの製品を使いたいと思うようになれば、利益につながります。

藤野:企業が持続的に成長するためには、社会のために良い商品を作っているのか、環境に負荷はないのか、フェアトレードか、説明責任を果たしているのかなど非常に複雑なことを考えなければいけません。そうすると、経営者たちがちゃんと経営しようという思いにあふれていることが必要です。それを直接聞きに行く、ということを私は今でも大切にしています。

最近は、これまで眠っているように見えた大企業の経営者も良い意味で中堅企業の経営者のようにアグレッシブさを持ってきたように感じます。著名な投資家ウォーレン・バフェットさんが日本の商社株に投資をしたことがニュースになりましたが、海外の投資家も日本企業の変化に気づいています。私自身日本はとても面白くなると期待しています。

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