下野新聞は栃木県の地元紙として、宇都宮美術館の開館前から、同館の作品収集などの開館準備の様子を広く紹介してきました。また、1997年の開館以降も、その展覧会情報をいち早く紙面で取り上げ続けています。

 今回、同館で開催されている、開館25周年記念 全館コレクション展「これらの時間についての夢」展は、「時間」をテーマとしています。そこで、12月1日から15日まで、毎日1回ずつ、このページ内で、本紙の宇都宮美術館の記事を再度掲載し、同館の歩みを振り返ります。

 

これ夢展 担当学芸員の一言

宇都宮美術の現在展は、記事にある初回から継続し、これまで5回開催しています。宇都宮ゆかりの作家さん達の活躍の場として、第6回も開催を予定しています。

下記は1997年6月3日に掲載された記事です。

 

宇都宮美術館の現在展

ゆかりの作家一堂に

日本画など115点展示 

宇都宮市在住あるいは在勤の美術家百十五人の作品を一堂に集めた企画展「宇都宮美術の現在展」が二十九日まで、宇都宮美術館で開かれている。日本画、洋画、版画、彫刻、工芸、書、写真の七分野から現在活躍中の作家が出品し、宇都宮の美術の現況が分かる内容となっている。(文中・敬称略)

 同美術館は宇都宮にゆかりのある企画展を、年に一回計画している。総合的に紹介するもの、物故作家や美術グループなどに焦点を当てたものなどさまざまな企画を計画しており、今回はその第一弾。

 同美術館の館長、学芸員のほか、作家から委員を選出して企画委員会を設置。作家の選考や作品の規格などを検討した結果、日本画十六点、洋画四十六点、版画五点、彫刻七点、工芸十三点、書十八点、写真十点の計百十五点を選んだ。

 日本画は日展参与の米陀寛、日本美術院同人の松本哲男を最高峰に、中堅の北條正庸や若手の荒井経ら。伝統的な作品から日本画の枠を超えようとしているものまで並んでいる。

 洋画は中堅が中心だが、秋葉直樹、関谷隆志、高野明子ら力のある新進を加えている。作風は抽象から具象まで多種多様。海外の風景や人物が多いが、心象風景を基調にした作品に力作がある。版画は坂本好一、坂本富男、高久茂ら個性派がそろっている。

 彫刻はベテランの飯田実、丑久保健一、日原公大、粕谷圭司らとともに、高橋靖史ら若手が出品。工芸は陶芸、竹芸、漆芸、染織など幅広い。陶芸の佐伯守美、林香君、谷口勇三、竹芸の飯田清石、漆芸の宮原隆岳ら実力派ばかりだ。

 書は県書道連盟会長の白石宙和、七海水明、中井史朗、重原聖鳥、中野永峰ら重鎮のほか、赤澤豊、松本宜響、村松太子ら気鋭の若手も。写真は雲がテーマの鈴木正一郎、動物を追究している福田俊司らが出品している。

 入館料は一般六百円、高校・大学生四百円、小学・中学生二百円。